イケメン夜曲◆ロミオと秘密のジュリエット14日目 ~涙で濡れた頬~

こんにちは。

なんとなんと、舞踏会でアレクとまさかのご対面

お互い内緒にしていただけに、とっても気まずいでしょうね。いわゆる修羅場ってやつでしょうか?こういう現場って、恐いけど見たいよねww

 

テーブルの下の攻防


貴族の男性が紹介した『知人』は・・・どこからどう見ても、アレクその人だった

(どうしてアレクがここに・・・!?それに、この格好・・・)

アレクが身にまとっているのは貴族が着る礼服だ。それも、上質な仕立てから相当な身分の高さがうかがえる。

「・・・・・・アレク様、どうかされましたか?」

(アレクって呼ばれたってことは・・・やっぱり、アレク本人なんだ・・・・・・

「いや・・・・・・やはり邪魔をしては悪いので、俺はこれで」

貴族の男性がアレクを強引に引き止め、私の向かいの席に座らせる。

(どう、しよう・・・・・・)

本来の目的を果たすためには、とにかく令嬢のふりをやり通すしかない。

視線を送ってくるアレクは、『何も言うな』と目で告げいた。

すると同席している貴族の男の人が、怪訝そうに呟いた。

「もしや、お知り合いで・・・?」

知り合い

(っ・・・そ、それは・・・)

「”え、ええっと・・・”」

初対面です。そうですね?レディ」

言い淀む私の後を引き取り、アレクが急いで誤魔化す。

「ええ・・・そうですわ」

「ああ・・・では、アレク様も私と同様ですね。レディウサギがあまりにも美しいので、驚いてしまったのでしょう」

「・・・・・・ええ、そうですね」

(え・・・っ)

美し過ぎて

美し過ぎて・・・めまいがするかと思いました」

白々しく皮肉を言うアレクにむっとするけれど、口には出せない。

(っ・・・それなら、せめて・・・)

テーブルの下、ハイヒールのつま先でアレクの足を軽く蹴って抗議する。

貴族の男性に、にこやかにアレクを紹介され、私も令嬢らしく見えるように笑顔を返す。

「アレク様、ですか。素敵なお名前ですね」

精いっぱいの皮肉を込めると、アレクにつま先をこつん、と蹴り返された。

 

涙で濡れた頬


きりのないテーブル下の攻防の末・・・アレクは私ににこっと笑いかけた。

「・・・・・・ここでお話しているだけというのも芸がありませんね。レディウサギ、良かったら一曲踊って頂けませんか?」

(つまり、ふたりで話そうってことだよね・・・)

「ええ。構いませんわ、アレク様」

お手を

「お手を、レディ」

むすっとしたまま手を差し出すと、

(わ・・・・・・っ)

手を掴まれた途端に背中を抱き寄せられ、胸と胸がぴたりと合わさる

「な、何するの・・・っ」

「ダンスだ」

あらがう間もなく、アレクがリードしながらステップを刻み始める。

「・・・・・・こんなとこで何してんだよ、お前」

耳元で、アレクの声が吐息混じりに囁いた

(ちょっと、近過ぎる・・・っ)

誰にも聞こえないようにするためだと分かっていても、ざわっと肌が熱くなる

「招待状がなきゃ入れねえこんな場所に、どうやって入った?ラッドとハルと来たのか?何が目的なんだ?」

「・・・っ」

(何で・・・・・こんな風に問い詰めるの?私には・・・・・・あんなこと言ったくせに・・・っ)

関係ないんじゃなかったの・・・!?」

堪え切れずに、私は声を上げていた。

「あ?」

「だって昨日アレクは・・・・・・私のこと、『他人』だって言った。『他人』の事なんて、アレクに関係ないでしょう・・・!?

言いながら、涙が滲んでしまう。涙を堪えてうつむくと――アレクが急に、ダンスをやめた。

困惑する

「・・・・・・あー、もう」

広間の中央で、アレクが私の頭に手を回した。

涙で濡れた頬を隠すように、広いアレクの胸に引き寄せられる

 

なんて顔してんだよ


混乱しつつも、周囲に視線を走らせると・・・

(っ・・・・・・すごく、目立っちゃってる)

近くでダンスを続ける貴族たちの視線が、一斉にこちらへと集まっている。

「ア、アレク・・・・・・皆、見てるから」

「だからどーした」

さりげなく身を捩ると、余計に強く抱き寄せられて逃げられなくなる。

「急に気分が悪くなったってことにしとけ」

「でも・・・・・・もう大丈夫だから・・・離して」

ようやくアレクは腕の力を緩めてくれた。

私は急いで、真っ赤になっているであろう顔を俯ける。

「顔上げろ」

「いや」

「上げろ」

「・・・っ」

アレクに顎を持ち上げられて、涙目で火照った顔を見られてしまう。

なんて顔してんだよ

「・・・なんて顔してんだよ」

私を見て呆れるでも不機嫌になるでもなく、アレクはふわっと微笑んだ

高鳴る胸が痛くて、恥ずかしいのに・・・アレクの笑顔から目が逸らせなくなる。

「明日渡すつもりだったんだが・・・今日の格好の方が似合いそうだな」

うなじに両手を回され、わずかにひんやりした何かが鎖骨に触れる。

(これ・・・・・・ネックレス?)

「どうして・・・・・・?」

「詫びだ。とっとけ」

私の問いかけにアレクがぶっきらぼうに返す。

お前のこと、関係ないなんて本当は思ってねーよ

アレクは肩にそっと手を乗せて、私の目をじっと見つめた。

「知られたからには、全部話す。その代わり・・・お前もちゃんと説明しろ」

返事に詰まって目をそらした、その時・・・

(あの人・・・・・・)

ハルさんが見せてくれた写真に写っていた男性が、私の視線の先にいた。

(間違いない・・・・・・あの人がジャック=ノートンだ・・・!)

 

足止め


ノートンは焦っている様子で、広間から出ようとしていた。

(もしかして、ラッド様達に気づいて逃げようとしてる・・・?)

「アレク、ごめん!話の続きは後でさせて」

驚くアレクを残して、私はノートンを追って駆け出していた。

足止めしないと・・・・・・!)

バルコニーに出た所で、私はノートンに追いついた。

「っ・・・お待ちください!」

「これはこれは・・・・・・美しいレディがどんなご用で?」

(ええっと・・・・・・用件、用件は・・・・・・そうだ)

「あの、少しお話しして頂けませんかしら?」

「・・・なぜ?」

「それは・・・あなたが、とても素敵な殿方だからですわ」

「そういうことなら・・・・・・少しの間でしたらお相手しましょう」

逃げ腰になりそうな自分を奮い立たせ、ノートンの隣に歩み寄る。

その瞬間、無遠慮に腰を抱き寄せられた。

「自分から言い寄ってくるとは・・・大した淑女だな、アンタ」

バルコニーに暗がりへ引きずられていき、私は乱暴壁へ追い詰められた

 

楽しい修羅場


個人的に今回のお話、とても好きです。

最初は、思いがけないところで出くわすなんて、ふたりとも気まずそうだな~と思っていたのですが、テーブルの上と下での出来事の落差が激しくて、とても楽しいです。

しかもテーブル下の蹴り合いっこって、なんだかドラマみたいですよね。こんな修羅場だったら、私も是非体験してみたいww

それと、顔上げろ」 「いや」 「上げろ」 からの顎クイのやり取りも、とても好きです。なぜって?

されてみたいからです。ただそれだけです。

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