おいらん乙女~淫れそめにし~13日目 ~代償~

こんにちは。

お互いに別れを告げたうさぎちゃんと中御門様。ふたりの進む道がまた交わることはあるのでしょうか。

いや、交わらないと困るけどね。だって、その為の乙女ゲームでしょ。

 

後悔はしてない


誰にも見つからず、無事に店に戻った私は、何事もなかったかのように稽古に打ち込む日々を過ごした。

けれど――三味線を弾いても浮世絵を眺めても、思い浮かべるのは中御門様と過ごした日々のことばかり。

「精が出るね、うさぎさん。」

三味線を掻き鳴らしていると、彦吉さんがお饅頭を持って現れた。

休憩しない?

「ちょっと休憩しない?」

お饅頭をひとくち食べても、思い浮かぶのは同じ人の顔だった。

「中御門さん・・・・謹慎処分が解けたらしいけど、もうここには、来ないのかな・・・・?」

彦吉さんは、私の様子を伺うように呟く。

「もう、いらっしゃらないはずです。」

私の答えに、彦吉さんは目を伏せる。

「心配ばかりかけてすみません。でも・・・・後悔はしていませんから。

私はぎこちなくも精一杯の笑顔を彦吉さんに見せた。

 

話がある


私が湯呑を手に取ろうとした、そのとき――。

廊下から、慌ただしい足音と共に声が聞こえてくる。

「何でしょう・・・・。」

様子を見ようと、廊下へ出ると――。

「うさぎ!」

そこにはもう会えないはずの、最愛の人がいた。

私はどうすれば

(どうして中御門様が・・・・?私はどうすれば・・・・)

私は驚きのあまりその場に”立ち尽くす”。

「うさぎ。話があるんだ、少し時間をくれないか。」

「うさぎと会わせるわけにはいきません。」

「相良さん・・・・!」

中御門様との間に、険しい顔の相良さんが立ち塞がる。同時に数名の男衆が、中御門様の両手を押さえる。

「『伝説の花魁』は桜凛楼の大事な商品です。それを何度も危険な目に遭わせるような方を、易々と招き入れるわけにはいきません。お引き取りください。」

「主人の言う通りだ。僕は何度もうさぎを危険な目に遭わせてしまった。全て僕の責任だ・・・・本当に申し訳ない。」

中御門様は、男衆によって自由を奪われながらも、頭を下げる。

話をさせてくれないか

「だが、もう一度・・・・ふたりで話をさせてくれないか。」

 

契約破棄


(あの時の別れについては、中御門様も同じ気持ちだったはず。けれどこうして、また訪ねてきてくれたことには、きっと理由がある――

私はそう思い至り、相良さんに頭を下げる。

「私からも、お願いします!」

「君は、自分の立場が分かっていないのか?」

相良さんは中御門様が聞いているのにも構わず、はっきりと告げる。

契約破棄

「このまま彼の元へ行けば、契約破棄だ。」

「っ!」

「君は私の言う通りにするしかない。彼のことは諦めるんだ

 

――手足から力が抜けて、うさぎは為す術もなく立ち尽くす。

愛しい人がそばにいるのに、駆け寄ることすら許されない。

すべてを捨てて彼の元へ行くには代償が大きすぎて、いっそこのまま、あの方への熱い想いでこの身を燃やし尽くしてしまえたらと、頭の奥で叫ぶ声が、悲鳴のようにこだましていた――。

 

心の叫び


うさぎちゃんの心の叫びが聞こえてきそうな回でした。

人が独りで生きていけないというのは、何かを成し遂げようとする時、”自分のため”だけでは、乗り越えられないことも、”誰かのため”だと、無限大の力を出せるということだと思います。

だから、その逆も然り。自分が傷つくことは恐れないけど、誰かを傷つけることは、それはそれは恐れ多いのです。

大事な家族を見捨てられるわけがない。そんなうさぎちゃんだからこそ、幸せになってほしいのだけれど。。

おいらん乙女~淫れそめにし~”ここで、第4章までが終わりました。ここからは、最終章となりますので、これにてレビューは、一旦終了とさせていただきます。

続きが気になる方は、こっそり楽しんでみてくださいね。でも安心してください、ここまでも、この先も無料で楽しめますから。

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